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対象となる要件

アスベストによる健康被害は長期にわたって悪影響が出るため、被害を受けた方やその家族にとって大きな問題となっています。
そのためアスベストによる健康被害を受けた方に向けて国からの補償制度が設けられています。しかし、申請や訴訟を行うためにはいくつかの要件があるため、事前に理解しておくことでスムーズに補償を受けることが可能です。

このページではアスベストによる賠償金・給付金の対象となる要件についてまとめていますので、アスベストによる健康被害でお困りの方はぜひ参考にしてください。

アスベストによって健康被害を受けた方へ国が行っている補償

アスベストは建材や工場で長い間使用されており、関連する業務に従事していた方に健康被害をもたらしています。日本では主に1970年代から多く使われ始め、同時に労働者の健康被害の報告が目立ち始めます。結果的に平成18年(2006年)にアスベストの含有量0.1%を超えるものについては使用禁止となりましたが、長い期間健康被害を受ける状況が続いてしまいました。

国は健康被害が複数でていることを把握していながら早急な対策(規制)を行わず、結果的に多数の健康被害を出してしまいました。
アスベストによる健康被害を受けた当事者や遺族が、国を相手に訴訟したことで特定の症状や要件を満たす場合に、給付金や賠償金を受け取ることができるようになりました。

給付対象となるアスベスト被害の要件

アスベストによって健康被害を受けた場合、国からの補償制度として給付金や賠償金の制度があります。また、治療にかかった費用などについては別途で労災認定を受けられます。

工場型アスベスト訴訟

対象となる1つ目が『工場型アスベスト訴訟』です。
こちらはアスベストを扱う工場に『昭和33年5月26日から昭和46年4月28日の間に局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、石綿粉じんにばく露する作業に従事』していた方が対象となります。
健康被害に遭った方やその遺族によって国に対して賠償を求めた裁判が行われ、2014年に最高裁で国に落ち度があったと認める判決が出ました。その結果、一定の要件を満たす被害者に対して賠償金が支払われることとなりました。(大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟)

厚生労働省が公表している賠償金額は症状によって金額が変わりますが、賠償額は550万円〜1,300万円となっています。

●じん肺管理区分の管理2で合併症がない場合:550万円
●管理2で合併症がある場合:700万円
●管理3で合併症がない場合:800万円
●管理3で合併症がある場合:950万円
●管理4、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚の場合:1,150万円
●アスベスト(石綿)肺(管理2・3で合併症なし)による死亡の場合:1,200万円
●アスベスト(石綿)肺(管理2・3で合併症あり又は管理4)肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚による死亡の場合:1,300万円

また、労働者本人だけでなく、遺族に対しても同様の補償を行なっているため、親族でアスベストによる健康被害を受けていた方がいた場合、給付対象となる可能性があります。
請求期限については、損害あるいは加害者を知った日(今回のケースだと診断日や死亡日)から3〜5年となっており、請求期限がやや短い点に注意が必要です。

建設型アスベストによる被害

2つめは『建設型アスベスト給付金』です。
こちらは『昭和47年10月1日〜昭和50年9月30日の間に、石綿の吹付け作業に係る建設業務』に従事、または『昭和50年10月1日〜平成16年9月30日の間に、一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務』に従事していた方が対象です
こちらはアスベストを含む建材を扱う建設作業や解体業に従事していた労働者で、アスベストが原因で健康被害を受けた方、またはその遺族に対して給付金が支払われるものです。

こちらも最高裁まで争われた裁判で、結果的に2021年に国に一定の責任があるとの判決が下されました。この判決によって『特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律』が成立し、訴訟手続を取らずに給付金が受けられるようになりました。

こちらも厚生労働省のホームページに給付対象と金額が記載されており、工場型の賠償額と同様に550万円〜1,300万円の給付額となっています。

●(a)じん肺管理区分管理2の石綿肺又はこれに相当する者で指定合併症にかかっていない者:550万円
●(b)じん肺管理区分管理2の石綿肺又はこれに相当する者で指定合併症にかかった者:700万円
●(c)じん肺管理区分管理3の石綿肺又はこれに相当する者で指定合併症にかかっていない者:800万円
●(d)じん肺管理区分管理3の石綿肺又はこれに相当する者で指定合併症にかかった者:950万円
●(e)中皮腫、肺がん若しくは著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚にかかった者、じん肺管理区分管理4の石綿肺にかかった者若しくはこれに相当する者又は良性石綿胸水にかかった者:1,150万円
●(f)(a)又は(c)により死亡した者:1,200万円
●(g)(b)(d)(e)により死亡した者:1,300万円

こちらも工場型の被害と同様に遺族に対しても同様の補償を行なっています。 しかし、建設型アスベスト給付金は喫煙の有無や、アスベストの被害を受ける業務に従事していた期間によっては金額が減額されます。 具体的には以下のとおりです。

<石綿ばく露期間による減額(給付金法4条2項)>
下記疾病ごとに、アスベスト建設業務に従事した期間が一定期間を下回る場合、給付金額は90/100に減額されます。

●肺がん又は石綿肺:10年
●著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚:3年
●中皮腫又は良性石綿胸水:1年

<喫煙習慣による減額(給付金法4条3項)
肺がんにかかった特定石綿被害建設業務労働者等で、喫煙習慣がある者については90/100に減額されます。(上記ばく露期間による減額があった場合はさらに減額が行われる)

なお、給付期限が診断日や死亡日から20年以内となっているため、期限切れにならないよう注意が必要です。

労災認定を受ける場合

アスベストによる健康被害が認められた場合、労災認定を受けることができます。
労災認定が受けられれば、医療費、休業補償、医療手当などの費用を負担、あるいは返還してもらうことが可能です。
労災認定を受けるためには医師の診断書を取得し、保健所や環境省地方環境事務所などに申請を行います。
申請後、労災認定の審査が行われ、認定の可否が審査されます。認定された場合、被害者には治療費や休業補償が支払われる流れとなっています。

対象となる疾患について

アスベストは非常に細かい繊維が肺の中に入ってしまい、長い間体内に残ってしまうことで慢性的な炎症、体組織の損傷が起こり、石綿肺や肺がんのリスクが高まります。

当事者だけでなく、親族がアスベストによる健康被害を受けた場合、対象となる疾患や、症状によって補償金額が変わってきます。また、過去の労働状況によっても申請(訴訟)方法が異なるため、まずは対象となる主な疾患が何か把握しておきましょう。

下記に紹介する疾患以外にも対象となるケースもあるため、詳しくは厚生労働省のホームページを確認してください。

●石綿肺 (アスベスト肺)
●肺がん (原発性肺がん)
●中皮腫
●びまん性胸膜肥厚
●良性石綿胸水

対象となる就労場所

アスベストに関連する業務に従事していたことのある労働者は、現在健康被害が現れていなくとも、非常に不安を抱えながら日常生活を送っている方も多くいらっしゃいます。

厚生労働省が発表している、アスベストに晒される主な業種は以下のとおりです。

●建設業、解体業、造船業、自動車整備業、発電所・製鉄所・化学工場
●空調・配管・断熱工事
●防音・防振材
●織物・紙・セメント
●軍需産業
●教育・研究機関

などの工場、工事現場、製造業、研究者などが対象となっています。
また、建設資材・自動車・家電・家具・船舶などの製造・加工に携わっていた方も、アスベストにさらされている可能性があります。
これらの業務に従事していた方は、アスベスト被害に関する情報を収集し、定期的な健康診断を受けることで、早期発見へ繋げることができます。

まとめ

最後に申請のための要点を整理しましょう。
アスベストによって健康被害を受けた場合、以下のポイントが重要となります。

対象となる疾患の診断を受けているか(石綿肺、肺がん、中皮腫など)
原因となった労働環境は何だったか(建設現場、工場など)
働いていた期間が対象となっているか

アスベストによる被害を受けた当事者や、遺族が個人で申請を行う場合、状況に応じて管轄が分かれているため、申請先に合わせた書類作成が必要となります。
特に工場型アスベストの被害に遭われた方については訴訟を行う必要があるため、個人で行うのは非常に難しいかもしれません。

フラクタル法律事務所は相談料、着手金、調査料を無料で行なっており、給付や賠償金の対象になるのかを含めて相談可能です。
経験豊富な弁護士が最後までサポートさせていただきますので、安心してお任せください

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