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対象となる関連疾病

アスベストによる健康被害を受けた場合、最大で1,150万円の補償を受けることができます。(本人が亡くなっている場合は遺族へ最大1,300万円が支払われます)
しかし、症状が軽い場合や治療が効果的な場合は、補償額が減額されることがあります。

このページでは、そんなアスベストによる健康被害において補償の対象となる関連疾病についてや、どの程度の給付金、賠償金が受け取れるのかといった補償内容について解説します。

賠償金・給付金の対象となる関連疾病

アスベスト繊維は肺に入り込むと、なかなか外部に放出されずに長期間体内に蓄積され、慢性的な炎症反応を引き起こします。これにより肺組織の線維化や肺胞壊死につながり、様々な疾病の原因となります。

アスベストによる主な健康被害は以下の5種類が該当します。

● 石綿肺(アスベスト肺)
● 肺がん(原発性肺がん)
● 中皮腫
● びまん性胸膜肥厚
● 良性石綿胸水

これらの病気は潜伏期間が長く、10〜40年と長い潜伏期間を経てから発症することが多い点が特徴です。一度発症すると完治が難しく、長い期間後遺症に苦しんでいる被害者が多くいるのが実状です。

アスベストを扱った職場で働いていた方が健康被害を発症した場合、その原因がアスベストにあることを立証することが必要となります。そのため補償を受けるには、診断書や勤務証明書などの証拠が必要となります。

国からの補償として550〜1,150万円(死亡の場合は1,200〜1,300万円)の給付金(または賠償金)が受け取れる可能性があります。適切な補償を受けるために、まずはそれぞれの疾病について知り、病院で診断を受けた上で労災認定を申請しましょう。

石綿肺(アスベスト肺)

石綿肺は、アスベストによる肺の疾患の一種で、肺組織が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一種です。

肺線維症とはアスベスト以外の粉塵や薬品など様々な影響によって発症するものですが、その中でもアスベストが原因で発症した肺線維症を石綿肺(せきめんはい)と呼びます。発症原因は主にアスベストを長期間(おおよそ10年以上)吸入したことによって引き起こされ、15〜20年程度の潜伏期間を経て自覚症状が現れます。

症状としては、息切れ、胸の痛み、咳、痰などがあります。石綿肺は、明確な治療法がないため咳止めや酸素療法などの対処療法を行うのが一般的です。

認められた場合の補償額は症状によって550〜1,150万円が受け取れます。 (死亡の場合は1,200〜1,300万円)

肺がん(原発性肺がん)

肺がんは肺の細胞が異常増殖し、悪性の腫瘍が形成されるがんの一種です。アスベストの長期間のばく露は肺組織を損傷させ、肺がんのリスクを増加させます。おおよそ15〜40年が経過した後に発症することが多く、アスベストのばく露量が多いほど発症リスクが高まります。

肺がんの症状には、呼吸困難、胸の痛み、咳、痰、喉の痛みなどがあります。患部が痛むなどの直接的な症状は少なく、上記のような症状の他に倦怠感、発熱、食欲不振などが起きたことで検査を受けて発覚するケースが多いです。

肺がんは、早期に発見された場合には治療の効果が期待できますが、進行した場合には治療が難しくなり、最悪の場合は死に至ります。過去にアスベスト事業所で働いていた方はがん検診などを定期的に受けるのが望ましいでしょう。

肺がん(原発性肺がん)が認められた場合、1,150万円の補償を受けることができます。(死亡の場合は1,300万円)

中皮腫

中皮腫(悪性中皮腫)は、アスベストによって引き起こされる悪性の腫瘍(がん)で、主に胸膜や腹膜に発生します。潜伏期間が長いことが特徴で、アスベストに暴露してから40〜50年程度経過して発症することが多い疾患です。

悪性中皮腫の症状は、呼吸困難、胸の痛み(圧迫感)、食欲不振、発熱、体重減少などの不調が現れます。初期段階であれば外科的手術や科学・放射線療法によって完治することも珍しくありませんが、進行が進んでしまった場合は肺がん同様に完治が難しい疾患でもあります。

中皮腫も肺がん同様定期的な検診を受けることで、早期治療を行うことが可能です。

中皮腫が認められた場合、1,150万円の補償を受け取ることができます。
(死亡の場合は1,300万円)

びまん性胸膜肥厚

びまん性胸膜肥厚は、アスベストによって引き起こされる胸膜の疾患で、傷ついた胸膜に線維状の組織が増殖して胸膜が厚くなり、呼吸障害が起こる病気です。
潜伏期間は30〜40年と長く、加齢による心肺機能の低下に似ていますが、検査によって判明することがあります。びまん性胸膜肥厚の症状としては、軽い運動でも息苦しさを感じたり、息切れ、胸の痛み、咳、胸部の圧迫感、慢性的な呼吸器疾患などです。

治療法は、症状の軽減のために胸水の除去、酸素投与、痰の吸引などがありますが、一度発症してしまうと完治することはありません。また、びまん性胸膜肥厚は、悪性中皮腫と同様に、アスベストによる影響があるため、肺がんや悪性中皮腫のリスクを高めることが知られています。

著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚が認められた場合、1,150万円の補償を受けることができます。(死亡の場合は1,300万円)

良性石綿胸水

良性石綿胸水は、アスベストによる疾患の一種で胸腔内に水が溜まる疾患です。アスベストによる肺胞や肺胞間質の炎症が原因で、胸腔内の液体が増加することによって起こります。

アスベストばく露から15年程度で発症する方もいますが、多くは40年前後で発症することが一般的です。良性の疾患であるため、がん化の心配はありませんが、大量の胸水が溜まると呼吸困難や胸痛などの症状を引き起こす場合があります。

治療法としては、胸水を排出する胸腔穿刺や、胸腔内にチューブを挿入して液体を排出する胸腔ドレナージなどがあります。無自覚の方も多いため、早期発見・早期治療を行うことで大きな後遺症を抱えずに日常生活を過ごすことも可能です。

良性石綿胸水が認められた場合、1,150万円の補償を受けることができます。 (死亡の場合は1,300万円) ※給付金額は、いずれも減額事由を考慮しない場合となります。

症状が悪化した場合の追加給付について

アスベストによる健康被害を一度国から認められた場合、所定の給付金を受け取ることができますが、もしも症状が悪化してしまった場合は、一度受け取った金額と、悪化した症状で受け取る金額の差額を再度給付してもらうことが可能です。

例えば、石綿肺が認められ550万円の給付を一度受けた方が、数年後に病状が悪化して1,150万円が受け取れる症状に変わったとします。この場合、再申請を行うことで新たに認定を受けた1,150万円の給付金から、すでに受け通った550万円を引いた、600万円を新たに給付してもらうことが可能です。

このように一度給付金を受け取った方であっても、症状が悪化した場合は再度申請を行うことも可能なため、一度ご相談いただければ申請のお手伝いが可能です。

対象となる関連疾病のまとめ

アスベストによる健康被害の認定を受けるには以下の診断を受けることが必要となります。

● 石綿肺(アスベスト肺)
● 肺がん(原発性肺がん)
● 中皮腫
● 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
● 良性石綿胸水

また、給付金の申請は20年の期限があるため、時効を迎えてしまうと給付金を受け取ることができませんので注意が必要です。(当事者が工場勤務されていた場合はより短い期限の3年、または5年で時効を迎えるため早めに対応が必要です)

その他にも所定の期間働いていたか、請求期限を迎えていないかなどのポイントも重要になってきます。他のページでは『対象となる要件』『賠償金の対象となる事業所』についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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